▼敬語とりわけ丁寧語を使うことを大事にするようになって生活に変化がみえてきた。ある保護者は、「学校で丁寧な言葉を使っているので家でも使おうと子どもが提案します」と苦笑しながら話して下さった。口を尖らせて伝えている子どもの顔が見える。最初は「です。ます」を使うというだけのものであったが、最近では子どもが家庭へ伝える内容も丁寧になってきた。

▼「今まで、学校のことは、断片的な子どもの言葉で知ることが精一杯でした。最近では、学校の様子を丁寧に話をしてくれるのでよく分かります。時々、僕が辛抱をしていたら喧嘩にならなかったのに、と悔しそうに言うことがあります」という保護者の声もある。子どもの成長ぶりがよく分かる。言葉は丁寧な生活を創る。

▼丁寧語を使う指導しても乱れた言葉がなくなるというものではない。なかなか習得できないのが敬語であり、丁寧語の持つ特性なのかもしれない。だからこそ丹念に指導をする必要がある

▼単語で話をしていた子どもが、丁寧語を使うようになって、日常生活が変わってきたという事例は多い。とりわけ、対人関係のトラブルの数が少なくなってきた。「僕が少し辛抱したら喧嘩にならなかったのに」と言えるようになったのは、丁寧に自分を見ることができるようになったからだと思っている。(吉永幸司)