第12回「新しい国語実践」の研究会山口大会
説明的な文章を積極的に読むということ
岡 嶋 大 輔

 ある文章を一読した後に「分かったつもり」になり、何度も読み返したり、一つひとつの叙述に立ち止まったりして読み深めようとする意識が薄くなることは、普段の国語教室の中にも多々あるのではないだろうか。

 鈴木武司先生(天王寺小)の実践提案は、その「分かったつもり」を「分かったつもりであるかもしれない」に、さらには、「分かった状態になろう」という積極的な読みへと意識を向上させていこうとする提案であった。
 提案にあった学級は5年生。説明的な文章を批評して読むことを扱っておられた。
 文章を批評して読むために大切にすべきポイントとして、次のことを学んだ。

 1つ目は、文章を読んで「分からない」「違うと思う」と非難するだけではなく、「自分ならこう考える」「この表現の方がいい」というところまで考えるようにするということ。積極的な読みにするためには、このように改善点を指摘した上で建設的に考えていくための読みがなされるべきであろう。

 2つ目は、文章を批判して読むための視点を子どもに分かるようにするということ。鈴木先生は、文章を批判して読むための以下の視点を子どもに明確に示されていた。
 ○2つ以上の事柄が対比される場合、はっきりと対比して説明されていかどうか。
 ○絵や写真などの資料と文章とが適切に対応しているかどうか。
 ○題名や述べ方と筆者の主張とが合致しているかどうか。
 このように説明的な文章を読む際の視点作りが繰り返されることによって、子どもが「分かったつもり」から脱却できるのであろう。

 3つ目は、友達の読みと自分の読みとを比べて考えを書く活動を取り入れるということ。提案では、子どもの書いた批評は、全員分番号をうって配付されていた。子どもは、それらに対する自分の考えをまた書いていくのである。それを繰り返すことにより、様々な考え方があるということに気付く。また、それを踏まえた上で自分の考えをしっかり持つことができるであろう。
 子どもの書いた文章を見ると、「○○の考えを読んでなるほどと思いました」「○○という主張が書かれていいなあと思いました」といった、他の考えに対する肯定的な批評が多数あったことも印象に残った。積極的に読むという大前提が貫かれて学習が進められていることを感じた提案であった。
(滋賀大学教育学部附属小)