「どんな話だったのか」説明する力をつける(2)
岡 嶋 大 輔

(前号から続く)  その後、その仲間分けをした中の1つ「登場人物」のことに着目し、クラスみんなの考えを出し合うようにした。
 登場人物の1人、「ばあさま」について「どのような人物」だと思うのか、それは本文の「どこ」から分かるのか、ということを理由も含めて考える場面。

 まず、それぞれの考えを本文に傍線を引きながらどんどんと考えを書き込んでいった。そしてそれぞれの考えがたまってきた頃に、その考えを出し合う場を設定した。
 その際、ただそれぞれの考えを出し合うだけでなく、友だちの考えと自分の考えとを比べて「同じ」「似ている」「違う」というようなことを意識できるようにと次のような活動を仕組んだ。
 一斉の場で、始めに1人の子どもが、自分が傍線を引いたところを示し、
「ここ(傍線部)から、私はどんなばあさまだと思ったでしょう。」
といったように、クラスのみんなに問う。

C 「おお、おお、じいさまかい。さぞつめたかったろうの。かさこは売れたのかね。」というところで、私はどんなばあさまだと思ったでしょう。
C さぞつめたかったろうの、というところで、じいさまのことを心配しているから、「じいさま思いな」ばあさまです。
C ぼくは、これもじゃないかなと思うんですけど、おお、おお、っていうのがすごくじいさまを心配していた感じがして「じいさま思いな」感じがします。
C ぼくは、理由は同じなんだけど、じいさまを心から心配していて「やさしい」だと思います。
C 私は、「やさしい」というのは同じなんですけど、かさこのことよりも先にじいさまのことを心配しているという理由で「やさしい」じゃないかと思います。

 このように、「じいさま思い」「やさしい」といった、ばあさまのことを表す言葉とその理由を考えられる限り出し合うことができた。 出つくしたかなというところで出題者が答えと感想を述べる。

C 私は、○○さんのようにさぞつめたかったろうの、というところで、じいさまのことを心配しているから、「じいさま思いな」ばあさまでした。○○さんの、かさこよりも先にじいさまのことを心配しているというのを聞いて、なるほどと思いました。

 自然と自己の変容が語られる。他の子どもも、出題者の答えと「同じ」であることが嬉しいのと同時に、「違う」こともまた勉強となり嬉しいことも感じている。
(滋賀大学教育学部附属小)