読んだことから考える 考えたことを書く
西 村 嘉 人

 6年生の2学期の最終単元は「自分の考えを発信しよう」である。使用した教材は「平和のとりでを築く」(光村6下)。

 先ずは、教材文を読むことから始めた。
「筆者の大牟田さんが伝えたかったことを読んで見つけよう」の課題に対して、子どもたちは、
「2時間の一人勉強ぐらいでいいかな。」
と見当をつけてきた。「付箋を付けて読むのに1時間」「考えをまとめるのに1時間」ぐらいの見通しである。一人勉強にもだいぶ慣れてきたので、大体の予定が自分たちで立てられるようになった。
 一人勉強の後に、1時間の交流学習の時間を設け、筆者の伝えたかったことを話し合った。

 続いて、読み取ったことから、自分でさらにテーマを決めて調べ学習を進める。大きなテーマは「平和」である。図書室で資料集めを行う。「はだしのゲン」や「ヒロシマの歌」「ガラスのうさぎ」などの文学作品を手に取る子ども。社会科の歴史資料を探す子ども。学習百科辞典で「原爆」「太平洋戦争」などの項目を調べる子ども。取り組みはさまざまだが、自分の課題をもって調べ学習を3時間続けた。

 最終段階は意見文を書く学習である。今回は学習ノートに2ページ以上の「平和」に関する意見文を書くことが目標である。
 書き出しは、「読み手に疑問文で語りかけるように書き始めよう」と子どもに課題を与えた。
皆さんは、今の時代を平和だと思いますか。私は社会で歴史の勉強をするまで、今が平和かどうかなんて考えもしませんでした。
 中国と戦争をはじめ、戦争が広がってアメリカとも戦争になり、原爆が広島と長崎に落とされ、ひどい戦争は終わりました。(以下省略)
この子どもは、この書き出しの後、「はだしのゲン」の内容に触れながら原爆の被害の恐ろしさをまとめ、「平和のとりでを築く」の筆者の大牟田さんの考えを引用しながら、自分の意見文をまとめた。

 社会科の学習も、ちょうど「太平洋戦争」の頃。ゲストティーチャーに城南小学校に爆弾が落ちたときのことを話してもらった時期ともうまく重なった。子どもたちは、取り上げた資料に違いはあるものの、それぞれが6年生なりに「平和」について考え、意見文をまとめることができた。
 書き終えた意見文をグループで相互批評しながら、さらに意見交換をする子どもの姿に感心した。
(彦根市立城南小>