盲導犬に関する説明文と物語を読み重ねる(2)
川 那 部 隆 徳

 盲導犬に関する説明文と物語を読み重ねる学習の続編である。
 物語「ベルナの目はななえさんの目」では、電車やスーパーなどで、盲導犬のことを理解してもらえず、主人公が辛い思いをする場面が描かれている。
 子どもたちからは、
「腹が立つ。」
「盲導犬は訓練を受けているから大丈夫なのに。」
「駅のお客さんの中に、盲導犬のことを知っている人がいて、その人が助けてくれてよかった。」
「もっと、みんなが盲導犬のことをわかってくれたらいいのに。」
「私も、盲導犬がいるというのは、知っていたけど、電車の中とかで初めて見たらこわいかも。」
などといった感想が聞かれた。

 そこで、この「重ねて読もう」の学習の終末では、盲導犬の訓練の様子やそれに関わる人たちの思いをまとめ、盲導犬のことをよく知らなかったり、理解していなかったりする人向けに、盲導犬のことを紹介するパンフレットを作成した。

【パンフレットの目次の一例より】
 ○盲導犬ってどんな犬
 ○盲導犬のきびしい訓練
 ○盲導犬の気持ち
 ○パピーウォーカーの気持ち
 ○訓練士の気持ち
 ○ユーザーの気持ち
 ○みなさんへのメッセージ
 このように、説明文で読んだ訓練の様子や様々な物語に登場した人物の思いを骨子にパンフレット作りを進めた。

【パンフレットの後書きより】
 いろいろな盲導犬の本を読みました。さい初は、「盲導犬」というのは少しだけ知っていたけど、何かよくわかりませんでした。でも、勉強をしているうちに盲導犬のことがよくわかってきました。本を読んで「悲しい」や「うれしい」や「感動」、いろいろ思いが出てきました。勉強してよかったなと思います。これからも、もっとくわしく調べていきたいです。ぜひ、読んでみて盲導犬のことをよく知って下さい。盲導犬は、目の不自由な人の体の一部であるのです。

 説明文には、「盲導犬は、目の不自由な人にとって大切な体の一部なのです」という一文がある。ところが、これだけでは、子どもたちは、言葉だけの理解にとどまりがちである。物語を読み重ね、事実と人物の心情をつなぐことで、盲導犬がかけがえのない家族の一員であるという実感のある理解へとつながり、自分なりの感想をもつことができたのであろう。
(滋賀大学教育学部附属小)