「ニュース番組作りの現場から」を読む
吉 永 幸 司

1.文章を丁寧に読む
 教材を読むとニュース番組がどのように作られているかということが分かる。教材の構成は話題の興味を掘り起こしながら、教材から得たことをもとに自分たちもニュース番組を作ろうという活動へ広げようというようになっている。「選ぶ・配列する・加工する」というまとめもある。
 教材研究としては、話題への興味だけでなく、文章を丁寧に読む活動への誘いに見える文章から別の面が見えてくる。それは、説明文の読み方であり論理である。一つは、ニュース番組を作るということ。もうひとつは説明的な文章を読むことである。
 文章を読むとは、軸足を内容に置くか表現に置くかで指導が変わってくる。文章を読むとは、@題名に着目する、A文末を確かめる、B主語や述語を補って読む、などがある。

2.題名を読む
 題名「ニュース番組作りの現場から」を次のように解きほぐす。 「ニュース」「ニュース番組」「ニュース番組作り」という面で教材を読む。第一段落では、「新聞やテレビ、インターネットなどによって大勢の人に伝えられるものをニュースといいます」「ニュースがいち早く伝えられます」という文がある。また、「テレビのニュース番組では」「あるニュース番組」とニュース番組へと広げている。第二段落では「ニュース番組を作る報道スタッフのうち」と題名の文と出会う。この後、ニュースという文は出てこない。

  3.主語を補う
 主語は文章で大事な役割を果たす。「さっそく、取材をしたりさつえいのしかたを決めたりするディレクターと」は第三段落の始めの文である。主語に「デスクは」を補うと意味が明確になる。「デスク」「ディレクター」と主語を補うとよく分かる文章が多い。

4.文末に注意をして読む
 文末は「八日前です」「決めました」「書きます」と現在形・断定・過去など色々な表し方をしている。筆者の意図が文末から推測でできるのも楽しい。

5.繰り返しの文に着目する
 富士山の噴火に備えた初めての避難訓練をニュース番組にするということを話題にしているので「富士山」という語が繰り返し出てくる。注意をして読むと「富士山の噴火・富士山は・富士山の周囲では」というように述語や修飾語によって限定しながら説明をしていることに気づく。この他繰り返し出てくる語に着目をすると段落の役割がはっきりしてくる。
(京都女子大学)