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悲鳴をあげる学校 保護者対応で困っている事例はどこの学校にも1つや2つはあるだろう。モンスターペアレントと呼ばれ、その理不尽な要求がマスコミでも取り上げられる。 著者は、学校へ寄せられるイチャモン(無理難題要求)を研究対象としている大阪大学大学院教授。イチャモン研究は「人間のもつべき理性とは何か、合理的思考とは何か、そして人はだれとどこで何によって連帯できるのか、すべきなのか」ということにつながると位置づけている。 第1章「悲鳴をあげる学校 ふえる学校へのイチャモン」 第2章「なぜふえる学校へのイチャモン」 第3章「イチャモンはどうしたら打開できるか」で、「イチャモンは時と人とを選ばない」「教職員が子どもと触れ合う時間が減少すればするほど、イチャモンは反比例してふえる」という2つの小野田の定理が紹介される。抜本的な解決策はないが、ヒントが示されている。言われてみれば当たり前のことであるが。 ・「本質」と「現象」を見きわめることの重要性 ・話し合いの大切さ ・一人で背負い込まないで共同化を 第4章では、「子ども“で”つながろう」と提言される。“イチャモン”の裏返しは“連帯”であるから「イチャモンこそチャンス」ととらえて取り組んでいくことが大切であると。(常諾真教) |