往復の平均時速
吉 永 幸 司

1.平均時速
 問題「同じ道を往復しました。行きは時速4qで歩き、帰りは時速6qで歩きました。往復の平均時速は何qですか」を解く。6q+4qで10q。平均時速5qと答えを書く。大人より5年生の子どもの方が正当率が高い問題であろう。平均に目が向くからである。平均時速だから、まず、距離。時間。時速関係を捉えていないからである。

2.文章を整理する
 問題文「田中さんは、午後1時に1500m離れた山田さんの家に行きました。途中、お店でおみやげにノート2冊と鉛筆3本をかって600円払いました。山田さんの家まで25分で行けました。帰りは午後4時15分に出発して午後5時に家につきました。お店で山田さんのおみやげに持っていったノート1冊と鉛筆1本を買って250円払いました。」悪文のお手本のような問題文である。
 この文章だけ提示して「大事なの文を見つけましょう」と指示をすれば、どこに線を引くだろうか。 問題文を「ノートと鉛筆の1本のねだんはいくらでしょう」とすると、必要な文章とそうでない文章が見分けられる。意図を読み取る。
 問題文は「ノート2冊と鉛筆3本を買うと600円でした。同じノート1冊と鉛筆1本を買うと250円でした。ノートと鉛筆それぞれくらですか」という文章に整理をすることができる。このような学習の経験は、算数の問題文は必要なとこだけを示していることに気づく。問題文の意図の読み取りである。

3.解き方を説明する
 文章を丁寧に読むということは次のような部分を見逃さないことである。
 @求めていること
 A数値や単位
つまり、問題の意図を理解し、必要な条件を見つけることである。さらに、念頭で操作したことを言葉で説明する場を設けると思考の手順がはっきりしてくる。
 算数のこの一連の活動は、国語の時間に丁寧にしている内容である。筆者の意図、文章で大事な言葉などがそれである。
 たとえば、平均時速を求める問題では、距離が一定、行きにかかった時間、帰りにかかった時間という条件を整理すれば、単純に平均へはつながっていかない。考える手順には的確さが求められる。
 国語科の文章を読ませるとき、繰り返し出てくる言葉や意図や主題になどに力を注ぐ。そこで身についた力が問題文を丁寧に読む力として生きる。
(京都女子大学)