読書指導の展開
三 上 昌 男

 国語力の向上には、読書活動のあり方がきわめて重要である。各校では、読書ボランティアによる読み聞かせ、公立図書館と連携したブックトークなど、本と出あう多様な場を学校として設定しながら「自ら本に手を伸ばす子どもを育てる」を目指している。しかし、子どもたちの読書活動は充実しているのであろうか。読書力を高める国語科の授業はどうであろうか。最近、授業研究会等で見せていただいた実践例をもとに考えてみたい。

 1つ目は、3年生の実践。単元全体の流れは、次のとおりである。「きつねをつれて村祭り」(大阪書籍)の読み取り学習の後、きつねが登場する本を図書館で借りて読み、紹介文を書く。そして、「きつねをつれて村祭り」による読書へのアニマシオンを担任が展開する。その体験を参考に、「地雷をふんだぞう モタラ」と「おにたのぼうし」の二つのお話を使い、班ごとにクイズを出し合う。さらに、自分の好きな本をクイズで紹介し合う。
 盛りだくさんの内容であるが、一人ひとりの子どもがこの学習単元で、少なくとも5つのお話を読み、学級の友達からたくさんの本を紹介されている。
 私が参観させてもらった授業は、「地雷をふんだぞう モタラ」と「おにたのぼうし」を使って、クイズを出し合う場面であった。クイズを作るために一方のお話を読み、クイズに答えるためにもう一方のお話を読む。授業の様子から、どの子も2つのお話をかなり読み込んでいることがうかがえた。おそらく、この単元の学習後、友達から紹介された本を何冊か読んでクイズに答えることになり、読書活動が継続していくであろう。

 2つ目は、1年生の実践。「おはなしをおしえっこしよう」(大阪書籍)という教科書単元の扱いを工夫し、自分のお気に入りの本を一人の友達と絵手紙で紹介しあい、お互いに本を読んで返事を書くという展開である。
 自分が読んだ本のおもしろかったところを中心に表した絵手紙を本に添えて渡し、受け取った本を読んだ後、お礼の手紙を添えて本を返す。この双方向のコミュニケーション活動を通して、本との出あいを広げると共に、友達の良さにふれる機会を持つことになる。一対一の伝え合いは、相手を替えることで繰り返し活動することができ、力の定着を図ることにつながっていくであろう。

 2つの実践からは、国語科の授業をもとに読書活動の広がりや高まりが展望できる。子どもの読書生活づくりに役立つ国語科の授業作りに努めたいものである。
(安土町立安土小)