詩 を 味 わ う
中 嶋 芳 弘

 教科書(光村6年上)、「詩を味わう」の実践。山之口獏「」と山村暮鳥「りんご」どちらの詩も子どもたちには、やや古く、なじみにくい感じがする。案の定「なんだかよくわからない」という感想が多い。ともあれ、「詩は声に出して読む」を持論としてきた私の実践。

 まず、聴写。1行ずつゆっくりと気持ちを込めて範読しては、書かせていく。わからないことばや漢字は○を書いて後から確かめて書くように指示。全員が全文を書けたところで、覚えられるまで音読を繰り返す。短い詩なので、子どもたちはすぐに暗唱してしまう。意味はわからなくても、言葉のリズムのようなものを飲み込んでいる。

 次は、行間に感じたことや思ったこと、みんなにたずねたいことを書き込ませていく。
 そして、行間の読みの交流会。
「〈すったもんだ〉って、どういう意味ですか。」
「国語辞典に〈種々の意見が出てもめること。ごたつくこと。〉と書いてあります。」
「けんかばっかりということかな。戦争なんかがあるということかもしれないな。」……
「〈文明〉って人間が作り出したすべての物のことかな。」
「それに〈諸君〉という言葉がつくと人みたいだな。」……
「〈地球にのっかる〉ではなくて〈地球ののっかる〉だから大きい船だな。」
「できるはずないけど、詩だから書ける。」

 最後に、この詩の感想を書いて交流する。初めはわからなかった子どもたちも「住みよい地球にしたい」というように作者の気持ちを受け取ってくれたようで「わかってすっきりした」と感想をまとめ ていた。

 次時、山村暮鳥の「りんご」を同じように扱った。この詩は、象徴的な詩で、感想は多様であった。
「〈かかへきれないこの気持ち〉とはどんな気持ちだったのかな。」
「すごくうれしいのと違うかな。」
「せつなくて悲しい気持ちだと思う。」
「苦しくて悲しくてひとりぼっちの気持ち。」……
「〈りんごが一つ 日あたりに転がってゐる〉日当たりと言っても机の上かな、広間のたたみの上か。」

 最後に図書室で詩を探して読み、お気に入りの作品をカードに視写してに感想を書き込み交流して、仲間の感想をもらう時間を設定した。
「先生、山村暮鳥さんの詩、見つけた。〈たあんきぽーんき〉ってリズムがあって、おもしろいけれど、どういう意味かな。」
 子どもたちは、たくさんの詩集の中から、選ばれたいくつかの詩を読み味わう時間を共有することになった。いま、教室の後に、そのカードが掲示されている。
(彦根市立河瀬小)