写真の中からことばを見つけよう
海 東 貴 利

 子どもの書く力を育てること、とくに書き慣れることを目標に毎日日記を書かせている。4月当初と比べてみると、鉛筆を動かす速さに違いが見え、「今日は何を書くか」が決まると、集中して書けるようになった。

 しかし、日記を読んでいると指導しなくてはならないことがいくつか見つかった。そのうちの一つが、語彙の指導である。表現豊かに書ける子は、場面の様子に応じてより適切な言葉を選んで表現しているが、そうでない子はまとまった言葉一つで書いてしまうことがある。例えば、日記の中の文末表現を見てみると、「行った、食べた、遊んだ、寝た…」と決まった言葉が続いている。

 言葉を知っているだけでなく、「こんなときは、こんなことばがぴったりだ」と活用できる力を育てていく必要がある。動作を表す言葉はたくさんあること、同じ動作を表す言葉は複数あると言うことを気づかせるために、以下のような実践を続けていきたい。

 まず、1枚の写真を見せた(後で同じ写真を載せたワークシートを子どもに配る)。この日の写真は、世界陸上ハードル走競技の場面。7名の選手がハードルを一斉に越える瞬間の躍動感ある写真。写真の様子や感想などを簡単に説明したり、発表させたりした。

 次に、写真に映し出されてる様子すべてからことばを探させた。今回は、動詞(うごきのことば)をワークシートにできるだけたくさん書かせた。制限時間を5分間設けて写真の隅から隅まで集中して探させた。

 次に、近くの子とワークシートを交換し、書いてあることばを順に発表していった。他の子どもたちは、発表の中で出てきたことばをチェックしながら聞くようにさせた。走る、飛ぶ、上がる、見るなどがやはり多かった。はげます、がんばる、声援するなど心の動きを見つける子もいたので、大いにほめた。走り抜ける、跨ぐ、競うなど教師が見つけたことばも教えた。みんなで見つけたことばを板書した。

 最後に、今日の学習で初めて知ったことばやなるほどと思ったことばなどをていねいにノートに書かせた。

 見つけたたくさんのことばを動きのことばや様子を表すことばなどに、仲間分けしたりすることもできる。また、主述の関係を学習するために、設定された主語に対する述語の部分を考える短作文の指導などもできる。最後の部分はいろいろな学習活動の仕方が考えられると思う。

 言葉にこだわって理解する子を育てていくためには、語彙の指導は欠かせない。
(高島市立青柳小)