考えを出し合い、仲間と高め合う授業づくり
岡 嶋 大 輔

 2年生の教室。自分の思いや考えをみんなの前で話せるようになることを意識して取り組んできた。さらに学級の仲間の思いや考えに耳を傾け、つなげて考えられるようになることを意識して取り組んでいきたいと考えた。ある言葉や文、作品について「なるほどそんな考えもあるな」「それだったらこういうことも考えられる」等と、仲間の考えと共感したり、違いを認めたり、新たな発見をしたりすることができるようにと願って本単元を設定した。

 教材文は「名前を見てちょうだい」(東書2年下)。単元の半ば、初発の感想から一斉交流の中の子どもの発言につなげ、教師がある程度どういうことを考えていけばいいのかということを次のように交通整理しながら進めていった。
 (1) 初発の感想の交流
 (2) 登場人物がどんな人物か
 (3) 帽子に関わる登場人物の様子
 (4) 主人公の帽子への思い
 (5) 主人公が帽子を大事に思う理由

 例えば、(1)から(2)への橋渡しの場面の授業記録。
 初発の感想を出し合う中で、「大男がどんな人物なのか」ということに話題が動いた。
C 帽子を食べたから、悪いと思います。
C 付け足しなんですけど、みんなが探してるって分かっているのに、名前も見てちょうだいって言ってるのに返さずに食べてしまったのがだめだと思います。
C 悪い男やなあ。
T ほんまやね、悪い男や。○子さんは、けちだって書いていたね。見てください、○太さんの次。大男は、悪い男とけち、2つ出てきましたが、大男ってどんな人物なんでしょうね。
C 僕は、大男は人間とか動物を食べようとしているから悪いと思う。
C 僕は、行儀が悪いと思います。普通なら、舌なめずりはしたらあかんから。
C 名前も食べちゃったよと言っているところが悪いと思います。そしたら、えっちゃんの名前が無くなってしまうっていうことだから。

 その後、その他の登場人物についてもどんな人物なのか出し合う中で、帽子に関わる登場人物の様子に触れた発言を拾い、(3)について深めていった。

 教師がどの発言を拾い広げていくかということをあらかじめ持っていることで、子ども同士の話の流れを意図的に整理していくことができたが、教師主導の色がまだ濃くはないかといつも思う。意図的であることと子どもの思考の流れに沿うこととを重ね合わせていくことがまだまだ課題である。
(滋賀大学教育学部附属小)