本の紹介をしよう 〜夏休みの読書生活に向けて〜
西 村 嘉 人

 1学期の最終単元を「本の紹介をしよう」として、夏休みの読書生活への誘いを行った。
 教材は「森へ」(星野道夫 文・写真 光村6上)を用いた。読書をテーマにした学習であるので、範読や一斉音読などは一切行わずひたすら個人の読みを蓄えさせる。
 一人読みの方法は、子どもたちがようやく慣れてきた「付箋読み」。思いついたことを小さな付箋にメモしながら読み進めていく方法である。読み進めながら本文に付箋を貼り付けていくので自分の思いが集まっているところが分かりやすく、一人読みをまとめるときにも、自分の感想を冷静に振り返れるので面白い一人学習のまとめ方ができる。

 「森へ」では、一人読みのあと自分はどのような思いをもってこの話を読み進めたかを、みんなの前で発表することにした。発表の大筋は、
 ・自分がどのような思いをもって読みつづけたか。
 ・その結果、どのような表現(言葉)に出会ったか。
 ・わたしなりの「すいせんの言葉」を述べてまとめる。
である。これらのことを簡潔にまとめておよそ1分で話すように課題設定をした。
 子どもたちは、
 「きれいな言葉がいっぱいある文章」
 「ときどき、どきっ!とする表現に会える文章」
 「頭に中に映画の画面が出てきそうな文章」
などと、読んだ文章の印象をまとめた。この印象をもとに、自分が心動かした表現や言葉を拾い集め、話の粗筋をまとめていった。

 わたしは、頭の中にきれいな映画を映しながらこの話を読んでいきました。カヤックで静かに進む進む海。突然現れるクジラの場面ではわたしも体がかたくなりました。また、森の中へどんどん入っていく場面では作者といっしょに森の様子を楽しんでいました。でも、本当にクマが現れたときには息がつまりそうでした。
 わたしはきれいな画面を頭に思い浮かべたけれど、読む人によってはらはらドキドキの話かもしれません。楽しんで読んでください。
(児童の発表原稿より)

 この発表会のあと、「夏休み読書発表会」の企画を子どもたちに伝えた。夏休みに読んだ本の中から2、3冊を選び、二分程度で「森へ」と同じように読書紹介をするというものである。ジャンルは自由。自分が興味・関心をもった本を友達に紹介するのである。
 楽しみは夏休み明けに。
(彦根市立城南小)