説明文の教材研究(2) 「イースター島にはなぜ森林がないのか」
吉 永 幸 司

 正確に筆者の意図を理解するには緻密に読むようにしたい。教材研究はそのために次の視点を考えてみた。

1.主語をそろえる
 主語「イースター島は」「森林は」は、題名から導く。
 ・ イースター島は、首都サンティアゴから西に約三千八百キロメートルはなれた、太平洋にうかぶ絶海の孤島である。
 ・ この島(イースター島)に森林はほとんど見られない。
 ・ 島全体(イースター島)が森林におおわれていたことが明らかになった。
 ・ 島(イースター島)はヤシ類の森林におおわれていた。
 ・ イースター島が緑の森林におおわれていたころ(略)
 ・ 森林から太い木が切り出された。
 ・ 森林には丸木船をつくるのに十分な太さのヤシの木がたくさん生えていた。
 ・ 森林から太い木をばっさいしたとしても、絶えず新しい芽が出て、順調に成長していたとしたら、
 ・ 森林破壊と、人間が持ち込んだ外来動物であるラットが(略)
 題名の「イースター島」「森林」を手がかりにして文章を読むことで内容が理解できる。これに類するものとして「ラット・ポリネシア人・ヤシの木・モアイ像」等がある。

2.数値を読む
 文章を読んでいくとやたらと数値が目に付く。正確に表しているものもあるし、大まかなものもある。
 ・約三千八百キロメートル・約一千六百年前・高さが三メートルから十メートル・西暦一五〇〇年ごろ・一七二二年等がある。数値が意味することを考えることも教材研究である。

3.文末を読む
 文末は文章の意図を理解する上で大事なことが多い。
 ・ 広さである。
 ・ 火山島でもある。
 ・ 明らかになった。
 ・ 考えられる。
 ・ 哺乳動物がいなかったからである。
 ・ ほんのささいな出来事であったにちがいない。
 ・ 悲さんなくらしを想像することができなかったのだろうか。
 文末は現在形、過去形、断定、問いかけなど多様である。その違いが段落の役割にもなっている。

 この他、写真と文や文章の対応や、書き出しと結びの関係などを含めて細部に注意をしていくと多様な学習活動が想定できる。
(京都女子大学)