行事の前後に 3年生運動会より
川 那 部 隆 徳

 本校では、例年9月に全校で100人程度の教育実習生を受け入れているため、5月に運動会を行っている。新年度がはじまって間もない時期であるため、運動会が個々の力や自信を高めると共に、クラスの基盤づくりの大きな節となっている。体育科の学習発表の場だけでなく、運動会を通して子どもたちの人間関係が構築される側面をもっており、子どもたちも緊張気味に運動会当日を迎える。

 そこで、運動会前後における子どもたちの素直な思いを綴ると共に、今後の生活に生かしていけるところはどんなことかを考える場を設けた。
【運動会前日】
T いよいよ明日は、運動会ですが、今はどんな思いですか。
C 緊張する。
C みんなに見られているから、入場行進が緊張する。
C ダンスを失敗しないか心配。
C 80m走で勝ちたい。
C ぜったい勝ちたいと思うと堅くなって体が動かなくなるから、ぜったい勝とうと思わずに、最後までがんばりたい。

ドキドキするうんどう会
 明日はドキドキするうんどう会です。わたしは「80m走」がにがてなんだけど、1番めざしてがんばります。心配なのは「ダンス」です。なぜかというと、わたしは、ダンスでほとんどが先頭なので、ちゃんとおどる場所まで行けるか心配です。(中略)
 でも、3年生なので、1年生と2年生の人にいいところを見せてあげたいです。3回目のうんどう会をせいいっぱいにがんばるぞ。

【運動会翌日、運動会の感想を話し合った後】

がんばったうんどう会
 みんなでがんばったうんどう会でした。わたしは、入学してから、うんどう会ではじめてまけました。その日はくやしかったけど、次の日になると「まあいっかあ、ちゃんとがんばったから」と思いました。すぎたことをくやんでもしょうがないからです。でも、やっぱり少しくやしいところがあります。(中略)
 これからの生活でできることは、チームワークを作っていくことです。

 いわゆる行事作文は、行事の終了後に感想やエピソードを書くにとどまって、マンネリ化しやすい。ところが、行事の直前にも思いを綴ることで、切実感が作品に表れてくる。また、前後の思いを比較する視点も生まれてくる。
(滋賀大学教育学部附属小)