言葉遣いと思いやり
伊 庭 郁 夫

 本年度は、「言葉遣い」の指導を大きな柱の一つに挙げて、生徒指導、人権教育、校内研究等で取り組みを進める。

 生徒指導の5月の目標は「くん、さんづけをしよう」である。各教室の学級札の下に生活目標と学級目標が掲示されている。教師も意識する。「さんづけをすると、後に続く言葉が柔らかくなる」と教えてもらったことがある。確かに、「さん」と相手を呼んでから乱暴な言葉は続きにくい。

 また、本校では、毎月1日を「人権の日」として、全校放送や集会などで人権に関する啓発を行っている。5月の詩は、しょうじたけしさんの「ありがとう」である。
「ありがとう いえばとってもいいきもち いわれりゃもっといいきもち ありがとう ありがとう」アメリカでは、ちょっとしたことでも「サンキュー」という言葉が自然に出るという経験がある。個人で、学級で、学校で「ありがとう」という言葉とそうでない言葉のどちらを多く使うか、ふり返ってみてはどうだろう。

 5月の校内研究全体会では、「言葉づかいの指導」について、交流会をした。
 各学年の発表を聞いていて感じたことは、言葉づかいは、相手を「思いやる」、人を「大事にする」ことに通じるという点である。単なる表面上の言葉の問題ではなく、気持ちの問題、心の問題と相通じる。 うまく自分の気持ちを表現できないために、トラブルになることが少なくない。「ふわふわ」言葉を1年生の早い時期から指導することが大事である。言葉づかいの指導は、人権意識にも関わる。
 また、基本的なルールもおろそかにできない。最初の段階では、「指名されてから発表する」「人にゆずる」「気持ちも伝える」「挨拶されたら、返すことができる」といった指導をする。そうでないと、思いつきの自分勝手がまかり通ってしまう。

 最後に、最大の言語環境は「教師」であるという点を肝に銘じたい。教師の話し方の巧拙について 野口芳弘先生のまとめられたものがある。上手な話し方とは、明るい表情、笑顔、短くあっさり、大きく張りのある声、眼は相手を見るなど相手第一の話し方である。
 ついつい自分本位の話し方、自己満足の話し方になっている時がある。「言葉づかい」の指導は、国語科や各教科、休み時間などすべての教育活動で、気づいたときに指導する。正しい話し方の例を示せるよう学びを続けたい。
(大津市立和邇小)