表に置き換えることから
吉 永 幸 司

1 大事なことを見つける
 教材「すがたをかえる大豆」は大豆の食べ方、おいしく食べる工夫と食品を説明をした文章である。「学習の手引き」には次の指示がある。
  おいしく食べるくふう  食 品
その形のまま、いったり
にたりして、やわらかくする。
豆まきの豆
 に豆
 

 

 このように表を作ることから、文章の要点を理解する能力を育てるのである。例えば、「大豆にふくまれる大切なえいようだけを取り出して、ちがう食品にするくふうもあります。水をいっぱいにすりこんだが大豆をすりつぶすと、白っぽいしるが出てきます。これに水をくわえて熱します。その後、ぬのを使って中身をしぼり出し、かためるためにニガリというものをくわえます。こうするととうふができあがります。」という段落は「おいしく食べるくふう」は「大豆にふくまれる大切なえいようだけを取り出す」を表に書き込む。食品には「とうふ」を記述する。  表にすることは、文章の事柄を整理する能力を育てる。

2 表に記述しない文章の役割
 「おいしく食べるくふう」と「食品」を表にする過程で理解できることは「納豆・みそ・しょうゆ・枝豆・もやし」など大豆がいろいろなすがたで食べられていることである。しかし、このことの理解であれば「水をいっぱいすいこんだ大豆をすりつぶす」というような文章は必要がなくなる。
 子どもたちに気づかせたいのは、表に書かなかった文章の役割である。作業として分かりやすいのは、次の3つの段階の活動である。
 @「おいしく食べるくふう」を表した文章を見つける。
 A食品名を見つける。
 B上の二つの事柄に含まれない文章の役割を考える。

3 文章の仕組みを理解する
 題名「すがたをかえる大豆」は「多くの人がほとんど毎日口にしているものがあります。」と呼応する。さらに、「大豆のよいところに気づき、食事に取り入れてきた昔の人々のちえにおどろかされます。」の結びが文章の中に具体的に表現していることも理解できる。
 表に書けること、書けないことを吟味し、書き出しと結び、繰り返し「くふう」の視点で文章の関係を読ませ、理解を深める指導が大事である。
(京都女子大学)