読んだことを生かして書く「読むこと」の学習
岡 嶋 大 輔

 叙述と挿絵とのつながりを確かめながら読むということを主なねらいとして説明文『一本の木』(光村2年下)を扱った。『一本の木』は、叙述だけでは分かりにくいことを挿絵で補い、内容を理解しやすいように書かれている。

 まず、教材文の全体像をつかみ本単元の見通しを持った。その後、前半に書かれている「木の描き方」を読み、書かれていることを順序通りに絵に表していき、叙述と挿絵とのつながりを意識して読んでいった。
 次に、後半に書かれている「様々な木の形」を読み、どの文がどの挿絵のことを表しているのかを考えた。それらを一斉の場で交流することを通して、どのような叙述がどのように挿絵とつながっているのかを考えるようにした。ここでは、「みき」「えだ」「はじめのえだ」等といった「木の部分」についての叙述、「長さ」「形」「本数」等といった「基本の木と何が違うか」ということについての叙述に着目して読むことによって様々な木の形をとらえることができる、ということが分かってきた。

 そして、絵本『木をかこう』から教師が抜き出した二十余りある木の挿絵からいくつかを選んで、それに合う木の名前をそれぞれが考えていった。その考えた名前をペアの友達に読んでもらい、どの木のことを表しているのか当ててもらう活動があることも告げた。
「みきの方にえだがあつまって、えだがくねくねまいてたつまきみたいに上にのびている木」
「えだがと中からいっぺんして、ものすごく長くなっている木」
「えだがだんだん長くなっていて、風ではっぱがゆれているようなえだの木」
等、教科書の叙述の仕方をモデルとしながらも、自分なりの言葉を使って木を表していくことができた。自分の言葉で木を表していくということや、友達に当ててもらうという活動に魅力を感じたのであろう、どの子も大変勢いづいて書いていった。

 そしていよいよペアの友達と当てっこをする時間。お互い、答えを言うだけではなく、文や挿絵を指で指しながら話すようにした。活動の後の感想には、
「相手に伝わるかどうか不安だったけれど、すぐに分ってもらえたので嬉しい。」
というような内容の感想が多かった。

 教材文をみんなで考えを出し合いながら「読み」、そこで学んだことを生かして「書き」、さらにそれを友達同士で「対話し」ながら読み合う中で、「書く」「読む」という伝え合いの良さも感じることができた学習であった。
(滋賀大学教育学部附属小)