第18回「新しい国語の授業」研究会
国語力が育つ実践を求めて
三 上 昌 男

 第18回「新しい国語の授業」研究会が、2月17日(土)、近江勧学館で開催された。今回は、土井俊信先生(大阪市立森之宮小学校長)に、「今求められる国語力・言葉の力」と題してご講演をいただいた。

 講演のはじめ、土井先生は、日頃「書くこと」を大事に学級経営や授業づくりをしているかどうかを問いかけられた。そして、「書くこと」を日常化することが、「国語力」を育てる実践にとって大切であると述べられた。

 各教科や総合的な学習の時間の中にも、国語力が発揮される場面がたくさんある。それぞれの教科等の独自性はあるが、言語活動を活用して学習を展開していくのであり、すべての学習の基盤として、「書くこと」を重視していく必要があることを指摘された。

 算数の学習においても、書いて説明する場面がある。国語科の読解力の低下が言われているが、読んで表す力(書く力)が課題ではないのかと述べられた。

 私たちは、書くことをいとわない子どもを育てたいと思いながら、子どもに書かせることを避ける教師になってしまってはいないだろうか。

 授業で子どもに書かせる場を設定するためには、書かせる時間を確保しなければならない。書く内容と書き方を具体的に示さなければならない。子どもが書いたものを読み、一人一人に評価を返すことも求められる。書かせることは、指導の個別化を伴い、指導者にとって大きな労力を要することなのである。

 その手間のかかる「書くこと」を日常化することが、「国語力」を育てるために必要なのである。 土井先生は、「書くこと」の具体的な実践例をもとに参会者に語ってくださった。

 三文で書く・意見とその理由を書く・制限字数以内で書く・箇条書きする・短い言葉でまとめる・一つの視点で書く・ある立場で書く・説明文を書く等、国語科に限らず各教科のノート等を通して、日常的に指導できることである。

 「ことわざ五十音を作ろう」「新聞の投書欄に投稿しよう」「世界に一つしかない詩集を作ろう」「卒業論文(作文)を書こう」等は、国語科の「書くこと」の創造的な学習単元である。国語科の学習では、めざす力・つけたい力を明確にし、評価規準を作って実践する必要がある。その積み重ねが、確かな国語力・言葉の力を育てることにつながる。

 「書くこと」は、考えることの基盤となり、学習力・人間力・自問自答する力を育てる。「書くこと」を大事に学習づくりを進めたい。
(近江八幡市立八幡小)