子どもの思考の流れを意識した授業づくり
岡 嶋 大 輔

 「スーホの白い馬」(光村2年下)を初めて読み、心に残った場面とそこから思ったことを書くようにした。登場人物に対する思いが表れているものが多かったので、次のように「登場人物」「場面」「登場人物に対する思い」という視点で子どもが書いたものを整理し、紹介した。

【白い馬について】
(白馬が矢でさされても、スーホの家まで行ったところ)
・ よく走りつづけたな。(T男)
・ スーホがすきなんだな。(K美) …
(白馬がしんだところ)
・ 何もわるいことはしていなのにかわいそう。(C子)
・ スーホにあいたかっただけなのにざんねんだな。(Y太) …

 整理していくと、
○スーホの白馬への思い
○白馬のスーホへの思い
について触れているものが多く、その二つに子どもの関心が寄せられていることが分かった。
 それらを紹介する中で、
・ 白馬は、スーホにとって家族のようなそんざいだったと思う。
といった、物語全体から感じられるスーホと白馬の関係について書かれているものから、さらに子どもの関心は「スーホと白馬の関係」へと動いた。

 そこで、みんなで
@スーホと白馬は○○だ。
A白馬はスーホを○○だと思っている。
Bスーホは白馬を○○だと思っている。
という内容で自分の考えを出し合うことにした。
C 僕は、スーホは白馬を弟のように思っていると思います。73ページで、「よくやってくれたね…。」と兄弟に言うように話しかけたからです。
というように、本文のどこでそのように思ったのかも話せるように声を掛けていった。

 交流の中で、スーホの「白馬といっしょにいたい気持ち」と、とのさまの「白馬といっしょにいたい気持ち」との比較から、スーホと白馬の関係について述べる発言があった。一気に子どもの関心はそこに向かっていき、そのことについて自分の考えを述べ合う時間を設けるようにした。

 端的に述べると、今回の授業は、「子どもが考えを表出し、そこから教師が課題を設定していく」という循環を意識して進めた。課題は多いが「子どもの思考の流れ」と「教師が意図する子どもの学び」のどちらも大切にした授業づくりをめざしている。
(滋賀大学教育学部附属小)