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欲ばり過ぎるニッポンの教育 フィンランドの教育と日本の教育とを比べる中で、日本の教育の特質が見えてくる。と同時に近年の教育改革の問題点も明らかになる。結論的に言えば、 <子ども一人ひとりに目をかけることを必要とする教育を求めておいて、そのための条件整備には金を出さない。時間的余裕も与えない。それでも、「自ら学び、考える力」の教育が大切だというのは、欲ばり過ぎというほかない。加えて、小学校での英語教育、基礎学力に発展学習、「心の教育」、「規範意識や情操」まで求める。… ニッポンの教育の身の丈(基本的な条件を含めた実力)を知ろうとせず、その改善を怠ったまま、要求のリストだけを増やしてきたとしか見えない。>(p234) 東京とオックスフォードで行われた2人の対談を中心に、短い論考が挟まれている。 教育現場の者にとっては、次々と押しつけられる「改革」に、もやもやとしていた事柄がすっきりと整理される。絶対評価が導入されたが、ヨーロッパ型の絶対評価とは全く違うもので、日本は相対評価の社会だという指摘は明快である。 教育関係者だけでなく、「教育改革」の推進者にはぜひ読んでほしいと思う1冊である。 第1章 親の不安はどこから来るのか 第2章 完璧な子育てはない 第3章 日本は学校に依存することで近代社会をつくってきた 第4章 フィンランド型の教育を日本で実践できるか 第5章 なぜ日本人は右往左往するのか 第6章 絶対評価と相対評価 (常諾真教)
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