本棚  算数・数学が得意になる本
芳沢光雄 著 BK1
講談社現代新書 2006.5 720円
算数・数学が得意になる本

 今さら数学が得意になりたいと思ったわけではない。書店でぱらぱらと立ち読みしていたときに、 算数の文章題と国語力との関連について書いてあるところに興味を持ったのである。

 文章題が解けないのは、読解力がないからだとよく言われる。そう思っている教師も多いようで、あまり反論が聞かれない。しかし、著者は国語力の問題ではないと言う。
 「計算はできるのに文章題が苦手な子どもは、四則演算それぞれの意味をあやふやにつかんでいるのです。すなわち、『やり方を覚えて処理する』計算だけはできるものの、身近で具体的な例による四則演算の認識が極端に不足しているのです。」
 四則演算を日常生活とからめて使うことを「体験」して、その意味を理解することが必要なのである。

 他にも、「分数のかけ算では、なぜ分母どおし分子どおしを掛ければよいのか」「分数で割るとはどういう意味か」「面積の公式が正しく使えない」「検算の大切さ」など、算数の授業で使えるようなヒントがたくさんある。
 「立方体に3回ナイフを入れて、3つの合同な四角すいを作る」方法はおもしろい。四角すいの体積が「底面積×高さ」の1/3になることが実感できる。(常諾真教)