第34回国語研究集団合同研究会
国語力を活かす、そして伸ばす
(富岡淑佳先生の提案に学ぶ)
吉 永 幸 司

1.国語で付けた力を活かす
 富岡先生の提案は「国語力」に真正面に取り組んだものである。
 国語の授業で身に付けた力が他の教科で生きるというのは当たり前のことであるが、なかなか難しい。その壁を越えるために、2つのことを実践している。

(1) 聞く・話すの徹底
 「最後までしっかり聞く」「相手意識をもってしっかり話す」という目標を達成するために、「めざそう聞き方」「めざそう話し方」の7つの約束の周知がある。聞くことでは、話し手の方を見て、黙って最後まで、わからないことはそのままにしないなどである。当然話すこともこれに呼応する。

(2)音読を通してのクラス作り
 国語を通してクラス作りを次のようにまとめている。
「毎日音読の宿題を出した。教科書教材のほか、詩などをいくつか取り入れた。物語や説明文以外は、数日間の練習のあと暗唱させて、必ずその暗唱をひとりひとり聞くようにしていった。全員が暗唱することができたら、みんなでで頑張ったことを認め合い、レベルを上げて次の音読に挑戦することをみんなに意識させた。」
 厳しいが目標に到達したときの温かさが文章の奥に流れている。
 「口をしっかり開けて音読することにより、授業中の発表の声もかわるだろう」というところに国語力の原点がある。資料に添えられた平野啓子さんの「暗唱、心の中に言葉の手紙を」は担任としての気持ちを表したものであろう。

2.言語力で自己確立を
(1) 「考える」学習を日常化する
 「新聞を読んで」のコメントを書かせるという実践が魅力的であった。「どんな内容の記事かを簡単にまとめて感想を5〜6行書く」というものである。「まとめる」「感想を書く」という活動が見方や考え方を育てていく。続けてよかったことに「私というフィルターを通して、物事を見つめようという姿勢が身についた」ことが自己確立そのものである。

(2) 語彙を増やす学習に力を注ぐ
 他教科で、総合や社会科の学習活動を語彙力の拡充に焦点化している。社会科「語ろう、心に残った人物」ではキャッチコピー作りの手法をとっている。「生涯をささげた宣教が世界を変えた(フランシスコ・ザビエル)」「第二の人生と夢をつかんだ江戸時代の測量機(伊能忠敬)」など特筆すべきものが多い。理科では新聞作りを通して見出しを作るというように発展する。

 言葉を大事にする教室の姿がよく分かる提案であり、学ぶことが多かった。
(京都女子大学)