本棚  危うし! 小学校英語
鳥飼玖美子 著 BK1
文春新書 2006.6 730円
危うし! 小学校英語

 小学校での英語必修化の動きがはっきりしてきた。著者は、それに対して反対する立場から、根拠を明確に論じている。

 まず、「英語を学習するのは早い方がよい」というのは何の根拠も裏付けもない俗説だという。(第1章 「早ければ早いほど」幻想を打ち砕く

 推進の原動力になっているのは、学校で学んできたにもかかわらず話せるようにならなかった親のコンプレックスと、すぐに英語が使える人材が欲しい企業からの要請であるという。文科省はそれらを背景に「英語が使える日本人の育成のための行動計画」を策定して、施策を進めている。(第2章 「親の過剰な期待」が英語必修化への道を開いた

 必修化しても、今の小学校教員に英語は教えられない。すべての小学校に外国人講師を配置することも不可能である。(第3章 誰が英語を教えるのか

 日本の英語教育は会話中心に改められたが、TOEFLの点数を見ると、文法や読解が落ち込んでいる。会話のためにも文法は必要であり、中学校で英語の時間を増やし、音声・語彙・文法など英語の基礎知識をしっかり学習することが大切であるという。(第4章 日本の英語教育はどうあるべきか)(常諾真教)