▼ある就職講座のレジメに「小論文作成に際しての留意事項」として次の8項目をあげていた。@短文を多く用いること、A結論から書くようにすること、B効果的な語句、表現を早く使うこと、C書き手が納得していることを書くこと、Dわずかでいいから「キラリ」と光る部分を必要とすること、E「問い」からずれないこと、F文字を大きく、濃く書くこと、G日常的に分析する「くせ」を持つこと。

▼どの項目も納得する内容である。就職試験を目前にした青年たちの心を捉えたことは十分予想できた。しかし、多くの内容は小学校の作文教育で指導をしていることばかりである。例えば、短文で書く、結論から書く、効果的な語句、表現を使う等。

▼書く内容の留意事項は世代を超えているのは当然であるが、社会人として自立する青年たちが改めて「短文で書く」というような内容を学習するのは、小学校からの書くという学習内容が力として定着していないのであろう。

▼「中学校、高校に進学していく過程で、友人が書くことで苦労しているのが不思議だった」と言った卒業生のことをレジメを見ながら思い出した。「私は、書くことで苦労をしたことがない」「小学校はよく書いた」という卒業生の言葉は、書くことを学習として課し続けた私の実践へのご褒美と思っている。(吉永幸司)