【第69回国語教育全国大会】
読書生活と関連させた書くことの学習づくり
岡 嶋 大 輔

 8月9日に第69回国語教育全国大会の校種別分科会、低学年「書くこと」で、読書生活と関連させた書くことの学習づくりをテーマに提案させていただいた。
 本が大好きなクラス。今までの読書を振り返り、「お気に入りの本」を1冊決め、それを題材として書くことで、その本を今一度見つめ直し、自分はその本のどういうところを好きだと感じているのかということに気付いたり、その本の良さを再発見したりできると考えた。

 作文の書き方の学習としては、題材となる本を選ぶところから、書く事柄を集めて選び順序を考えて書くところまでを、モデル化して教師が示し、何をどのように書けばいいのかという見通しが分かるようにした。モデルとして示した作文は、
 @「この本のここがお気に入りカード」を集め、作文に書く
 A「はじめ」「なか」「おわり」の組み立てを意識して書く
 Bまとまりごとに行を変えて始めの一字を下げる書き方に気をつけて書く
という3点に重点を置いて作成し、指導にあたった。
 そうして書いた作文をもとに、その本を見せながら「この本のここがお気に入り」について話す発表会を開くことを出口とした。

 今回の提案で教えていただきたかったことは、本単元の題材の扱い方や単元構成が2年生の児童にとって適切であったかということと、モデルの作文の有効性である。教えていただいたことの一部を紹介する。

<題材について>
●「どこがどのようにお気に入りなのか」と考えるのは、2年生にとっては客観的すぎる。主人公に寄り添い主観的に読むのが低学年の読書ではないか。
○自分の中で「お気に入り」を整理するために書くのは良い。それが、高学年で相手意識を強めていき「紹介するように書く」ことにつながる。

<モデル作文について>
●モデル作文の「なか」は3つもある。低学年では1つぐらいが適当ではないか。
○書くのが苦手な児童は、モデル作文をまねすることで自分の思いを表出できたのではないか。
○指導者が指導したい内容をしぼって自分で文章を書いてみることは良い教材研究である。

<出口について>
●書いたことの相互評価のために、発表会ではなく、文集にして読み合った感想を交流する方がよいのではないか。

 教えていただいたことをこれからの指導に生かしていきたい。
(滋賀大学教育学部附属小)