第34回国語研究集団合同研究会
合同研、提案の機会に感謝
伊 庭 郁 夫

 地元滋賀で開催された8月5日の合同研究会では、提案という貴重な機会を頂いた。「伝え合う力の育成」に主眼をおいた。実践は、久しぶりの3年生である。

 7月に私の学級にアメリカからN君がやってきた。アメリカでは、夏休みだそうだ。彼は、ほとんど日本語はわからない。しかし、3週間ほどの滞在で、お互いに思いを伝え合おうという姿勢が加速していった。3年生の中には、「お友達になりたいのだけれど、どう言えばいいの」と聞いてくる子どもがいる。そばにおられるお母さんにそのことをお伝えする。帰りには「先生、友達になれた」と大喜びである。言葉は片言でも、共に遊び、泳ぎ、学ぶ中で、すぐに慣れてくる。伝え合う力の原動力は、お互いを理解しようとする心、気持ちである。

 さて、授業では「知ってほしいな自分のこと(自己紹介)」と「どちらが好き」に取り組んだ。

 「知ってほしいな自分のこと」では、質問力をつける試みをした。
 子どもたちは、自己紹介のあと次々に質問をする。その質問を聞いていると、よい質問とよくない質問があることに気づいた。
 よい質問例として、「なぜか。どうしてか」など、理由を聞く質問。「いつ、どこで、だれ、何」など大切なことを確認する質問。「何匹、何歳」など数字を聞く質問。「Aですか。Bですか。Cですか」と選択肢を示して答えやすくする質問。「ありますか」と問い「ある」と答えた場合は「それは何ですか」とくり返し問う質問などである。
 逆に「よくない質問にはどんなものがあるかな」と投げかけた。
 「スピーチしたことを、また質問する」「Aさんが質問したことを、また質問する」「小さい声で言う」など、体験を通しての反応である。

 「どちらがすき」では、「パンとごはん、どちらが好き」のようにディベートの要素を取り入れた実践をした。ここで、強調したのは「相手を意識し、メモの取りやすい話し方をする」ことである。
 メモを取る側は、話すのが速すぎたり、声が小さくて聞き取りにくい場合は手を挙げて反応する。話す側は、その反応を見ながら「その理由は3つあります。(間)1つ目は、」のように話す。

 研究会で、目標の甘さを指摘して頂いた。「話す、聞く」と言いながら、実際に話をしている時間は限られている。また、話す時には十分に自分のものにすることの大切さを再認識した。更に、国語学力と国語力の関連についても、引き続き考えていく必要がある。
(大津市立和邇小)