本棚
絵本屋の日曜日 絵本を紹介した本である。絵本を紹介する本はたくさんあるが、子どもに本を与えるため、あるいは子どもに読み聞かせるために、大人が本を選ぶときに参考にするものが多い。 しかし、この本は「大人が絵本を読むための」ブックガイドである。 紹介の仕方がいい。たとえば、「自分であることに疲れたら」というタイトルで紹介されるのは、『はなのすきなうし』。「ひどい風邪をひいたら」では『アンジュール ある犬の物語』。 目次には書名は示されていない。タイトルから、どんな絵本が紹介されるのかを想像してみるのも楽しい。 ○自分がとてもかわいそうに思えたら、『おおきな木』 ○夏の記憶をたどりたかったら、『父さんと釣りにいった日』 ○懐かしさと再会したかったら、『シェイカー通りの人びと』 ○ハハハと笑いたかったら、『ねえ、どれがいい』 ○心の声を聞きたかったら、『ぼく、お月さまとはなしたよ』 著者はこの本を疲れた大人のための「処方箋」と位置づけている。100通りの処方箋があれば、たいていの間に合うのではないだろうか。(常諾真教) |