目標を具体的にし、そのモデルを示す
杉 澤 周 一

 今年度、2年生の国語の授業を担当することになったからか、以前に増して、何かの学習活動をさせる前に何を目指すのか、そして、目指すことを具体的なモデルで示すことを念頭において授業を進めてきた。

 「わかりやすく話す」という目標で「わかりやすく話しましょう」と指示をして、メモをとらせ、準備ができたら順に話させる。教師としては、「わかりやすく」と指導したつもりでも子どもの立場になってみれば、目指すことが曖昧である。
 「わかりやすく」するために、どのように話すと良いのかを教え、「どのように」を具体化して子どもと教師が目標を共有して学習活動をする必要があると思う。学ぶことを明らかにして指導し、個々の話す活動を通して評価し補充的な指導等をしなければ力がつかないのではないか。
 また、その具体化した目指すことを言葉で伝えているだけではなくモデルを示さないと、子どもには通じない場合が多々あるように思う。

 例えば、2学期の始めに「夏休みのことをわかりやすく伝えよう」という学習の際の導入。(発問と話し合いで導き出せるともっとよいと思いつつ)
 わかりやすく話せるようになるために、次の3つことを学ばせたいと思い、目標として提示した。
 (1) 相手が聞き取れる声の大きさで
 (2) 相手が聞き取りやすい速さで
 (3) 相手が聞き取りやすい口調で
 次に、その具体的目標について目指す姿をモデルで示した。

(1) 「大きな声で話さないととわかりにくいですね。では、大きな声で話しましょう」というよりは、「この教室のみんなが聞き取れる声の大きさで話しましょう。それは、どのぐらいの大きさかな?これぐらいですか。これぐらいですか。… では、その大きさの声を出してみましょう。」

(2) 「この教室のみんなが何を言っているかを聞き取りやすい速さで話しましょう。先生が今から、いくつかの速さで話してみますから、ちょうど良い速さがどれかを考えてみましょう。その後でペアで練習してみましょう。」

(3) 「はっきりと口を開けて、何を言っているかを聞き取れるように話しましょう。先生が今から、はっきりとしない伝わりにくい話し方とはっきりとしていて伝わりやすい話し方をやってみます。その後でみんなもやってみましょう。」

 教科や領域に限らず、また単元の導入に限らず、丁寧に具体的にモデルを示し、やがて生まれる子どものモデルを大切にしていくうちに学び合い、目標にせまっていける学習場面は多いように思う。
(東近江市立能登川西小)