想像をふくらませて書こう(後編)
岡 嶋 大 輔

 中編までは、「書き出し」「困ったできごと」「切りぬけ方」「終わり」それぞれにおいてどのようなものがあるのかを考え合い、それを学級でため込んでいった様子を紹介した。

 そうして次は、自分で書いていく物語の「あらすじ」を考える時間をとった。
 はじめに、
@「書き出し」の内容として
 ・物語の「ぶたい」
 ・「なぜそこにいるのか」
A「終わり」の内容として
 ・ハッピーエンド
の3点をそれぞれの子どもが考えた。これで、話の大枠ができる。
(例) ・物語の「ぶたい」 →地図にのっていない島
    ・「なぜそこにいるのか」 →宝物を見つけるために
    ・「ハッピーエンド」 →友達という宝物を見つけた 等々である。

 その後、さらに話を詳しくするために、
@「書き出し」の内容として
 ・主人公のしょうかい
A「困ったできごと」の内容
B「切りぬけ方」の内容
の3点を考える時間を設けた。これで、話に味が出てくる。それらをつなぎ、「あらすじ」は完了。それまでのため込みが効いたのか、どの子も悩むことなく書け、その子らしい話が様々できてきた。

 次は「書き出し」の工夫。私からは、次の二つを教えた。
@「書き出し」のポイント
 ・話が分かる
 ・読みたくなる
A「書き出し」のモデル
 ・「音」からはじめる 
 (例) ザザー、ザザー。ザザーン。白い波しぶきをあげて、小さなクジラのような船が進んでいきます。
 ・「会話文」からはじめる (以下、例を省略)
 ・「様子」からはじめる 
 ・「時」からはじめる 
 ・「場所」からはじめる 
 ・「気持ち」からはじめる 
 ・「質問」からはじめる 
 ・「昔話」のようにはじめる 
 そのようにして出てきた子どもの書き出しの一つ。
「ここは、ジャングルの中。鳥や、サルたちがさわいでいます。周りを見ると、動物たちが走っています。いったい何が起こったのでしょうか。」

 たくさんの楽しく分かりやすい書き出しが生まれた。みんなで書き出しを鑑賞する時間を持ち、その後、あらすじに沿って物語を書き進めていった。
(滋賀大学教育学部附属小)