想像をふくらませて書こう(中編)
岡 嶋 大 輔

 前編(本紙284号)では、
・「書き出し」「困ったできごと」「切りぬけ方」「終わり」という物語の流れをつかむ。
・物語の「ぶたい」を考える。
・「なぜそこにいるのか」を考える。
という学習過程までを紹介した。

 この学習における1つ目のポイントは、つかませたい物語の流れ、書き出しや叙述の工夫を盛り込んで私が創作した「ジーマ船長の宝物」という物語を単元の始めにモデルとして提示したことである。そのことによって子どもは、書こうとする物語の全体像がイメージでき、それぞれの授業で考えるべきことが分かりやすいようであった。
 2つ目のポイントは、まだ自分の作品を書き始めるのではなく、今までの読書経験をもとにしながらアイデアを出し合い、学級で想像したことをため込んでいくという形をとったことである。ため込んだものは、教師が類型化して整理し、プリントにして返していく。高学年ぐらいであれば、その類型化や整理を子どもがしてもよいだろう。その後、ため込んだものを参考にしながら、実際に自分の物語を書いていくのである。

そうして今度は「困ったできごと」を考え合った。学級みんなで「ジーマ船長の宝物」の話ではどんな「困ったできごと」が起こっているのかを確認し、他にどんな「困ったできこと」が起こりそうなのかを出し合った。そしてこの話に限らず、どんな「困ったできこと」が考えられるかを出し合った。子どもから出てきたのは、
『○○がおいかけてきた』 例「がいこつが青い目を光らせておいかけてきた」
『○○でがまんできない』 例「暑くてのどがからからだ」
等々である。

 同様に「切りぬけ方」を考え合った。ルールとして次の2点を挙げた。
 ・だれも死んだりやっつけられたりしない。
 ・かんたんに切りぬけすぎない。
 子どもからは、
『おたすけがやってきた』
例「さっき助けてあげた子どもの魔法使いがやってきて、ふしぎなめがねをくれた」
等々、もう話ができあがっているかのようなもの多くあった。
 「ハッピーエンド」も同様に考え合った。友達の考えに触発されながら、少しずつ自分の書きたいことが見えてきたという子どもも増えてきた。出てくるアイデアも、ちょっと具体性を帯びてきている。次はいよいよあらすじを決め、書き出しの工夫を考え、自分の物語を書いていく。
(滋賀大学教育学部附属小)