印 を 彫 る 6年生書写
中 嶋 芳 弘

 1年間の書写学習のまとめのひとつとして、石に印を彫ることにした。それなりの呼び名で言えば「篆刻」なのだが、そう呼ぶほどのものではなく「石印」と言ったところ。消しゴムに彫るスタンプを石に変えてみたくらいのもの。印材の石は、3p角、5p長くらい。ひとつ200円以内。小さな方寸の世界に文字を彫り込むのである。

◎「自分の名前を書く@」 これまでの学習を振り返り、「とめ、はね、払いに気を付けて」「扁と旁の関係に気を付けて」「おさまりを考えて大きく」……めあてをもって硬筆で名前を書く。1時間。

◎「自分の名前を書くA」 半紙に筆使いを考えながら、毛筆で名前の字を書く。 1時間。「筆先を紙に突き刺すような気持ちで」「縦画は太く、横画は細く」子どもたちは筆先を見つめながら書いていく。
*硬筆+毛筆で1時間とし、これを2時間するのがよい。「めあてをもってしっかり鉛筆で書けたね。次は毛筆で書いてみよう」

◎「印に彫る字を書く@」 自分の名前の字の中から、あるいは好きな言葉を選んで、正方形にした半紙の中に毛筆で書く。1時間。印の石の中へ書き込むことをイメージしながら、方寸の中に1字から4字を字配りよく書き込んでいく。
*篆刻の印では難しいので、「大和古印」など楷書の印を多数見せ、自分の彫る印をイメージさせた。文字を彫るのか、文字の周りを彫るのか。

◎「印に彫る字を書くA」 前時の4分の1の方寸の中に毛筆で書く。1時間。小さくなった分難しくなるが、その分筆先が立ってくる。
*高学年になるにしたがい、清雅に書きたい思いも強くなる。入門期には、教科書のように書けなくて当たり前、元気に子どもらしいのがよいと思う。

◎「石に彫る字を書き込む」 前時の4分の1の方寸の中に書いた作品の中からよいものを選び、裏返して補正する。それを石に鉛筆や油性細ペンで書き写す。
 どちらも化学消しゴムで消せる。気に入るまで何度でも書き直せばよい。版画と同じでこの書き込みがうまくできれば印はほとんどできあがったようなものである。

◎「石に印を彫る」 彫刻刀(ニードルや平刀)で彫る。2時間。石は柔らかく釘でもこつこつと刻みながら彫ることができる。失敗しても粗めの紙ヤスリで削り、細かい目の紙ヤスリで磨けば、彫り直しの印面ができあがる。試しに押してみながら、補刻して仕上げていく。できあがった印を書写の作品に押したり、版画作品に押したり、子どもたちは卒業記念の印を楽しんでいた。
(彦根市立河瀬小)