▼落ち着いて学習ができないということで担任がかなり力を入れて指導をしている子がいた。家庭と連携をして夏休みや冬休みに日記を書かせ、かなり効果があったという。

▼「ぼくは あさから本ばこをつくりました。」「あさおきたら ゆきがふっていました。ゆきのケーキをつくりました。」「きょう、ガレージへいったら、みちが こおっていました。」という書き出しで冬休みの日記が始まる。カタカナを使い、一文一文に心を込めて書いている姿が行間から見えてくる。およそ、落ち着いて鉛筆を持って書くことから距離がある子なので、日々の充実ぶりを想像しながら読んだ。

▼ところが、「ホテルでごはんをたべました。」「サッカーボールをかってもらいました。」「びわこバレーにいきました。」という日記はこの一文で完結。子供にとって楽しい日なので長い文だろうと期待をしたが、書くエネルギーにならなかったようであった。

▼日記全体からわかったことは、自分から好奇心を持って活動をしたり、体験をしたときは書くエネルギーが燃える。そうでなかったり、気分が動かなかったときは、体験的な要素があったとしても、活動に結びつかなかったのだろうと考えてみた。

▼子供の文章を生活と重ね合わせると心の中まで見えてくることを教えてくれた子として心に残っている。(吉永幸司)