第10回「新しい国語実践」の研究会滋賀大会
「新しい国語実践」の研究会滋賀大会に参加して
岡 嶋 大 輔

 12月26日、27日の2日間、「新しい国語実践」の研究会滋賀大会が開催された。第1日目は「低・中学年 書くこと」の分科会に参加した。その中で、金沢市立菊川町小学校の三野先生の提案「文型モデルを活用して説明文を書く力を育てる指導『食べ物のひみつを伝えよう』〜分類し段落に分けて書こう〜」が心に残った。

 提案のポイントは次の通り。
○モデルをまねて書くことは、一人ひとりが短時間で確実に書く力をつけ、表現の幅を広げるのに有効である。
○教師が文型モデルを示すことによって、子どもはどのような文章を書く学習をしているのかが分かりやすくなる。
○文型モデルは、子ども同士の相互評価において具体的なものさしとなる。
○ウェブマップの活用や、付箋の操作は、書こうとする内容を分類し整理するのに有効な手だてである。

 提案の内容は「すがたをかえる大豆(光村3年下)」をもとにして説明文を書くというもの。
 (1) 書き出し文
 (2) 問いかけ文
 (3) 中心文を先に書くこと
 (4) 接続語「いちばん分かりやすいのは」「次に」「また」「さらに」「これらのほかに」
 (5) 構成「はじめ」「なか」「おわり」(まとめ、感想)
という文型モデルを導き出し、それをもとに学習を進められていた。また、題材探しにおいては、教科書の文章を例に出しながら、
「○○のへんしん」「○○の料理」「○○のほぞん」
の題材モデルからパターンを選ぶようにされていた。

 その実践の中で、
 ・ 図書資料から必要なことを読み取る力
 ・ 十分な取材と情報を得、ウェブマップに表していく力
 ・ 書こうとする内容を分類、整理する力
という、これからクラスの子どもにつけたい力が見えてきたともおっしゃった。

 三野先生の提案を聞くまでは、教科書をもとにして説明文を書くことは、3年生の子どもにとって高度すぎるのではないかと思っていた。しかし、三野先生は、教科書にある説明文から目の前の子どもに必要だと思うものを取り出し、その実態に合わせてつけたい力や学習の方法を設定されていた。それらが、クラスの子どもにぴったり合い、3年生の子どもがその子なりの書く力をつけ、その力が発揮された説明文を書くことを可能にしたのである。
(滋賀大学教育学部附属小)