本棚  わが子に教える作文教室
清水義範 著 BK1
講談社現代新書 2005.10 720円
わが子に教える作文教室

 「週刊現代」に連載された「『作文親父』星一徹」をまとめたものである。子どもの作文を上達させるために、家庭でわが子を指導するための手引きの書。どうやって書かせるか、作文をどう読むか、子どもにどう返すかなど、段階を追って具体的に述べられていてわかりやすい。作文力の向上だけでなく、親子のつながりを深める手だてにもなるので「うちでもやってみようかな」と思わせる。

 作文指導で陥りがちなことへの戒め。「子どもに作文を書かせるのは、その子の文章による表現力を高めるためであろう。…それなのに…作文を利用して、道徳教育をしてしまうケースが目立つのだ。」つまり、兄弟げんかの作文に、「兄弟は仲良くしましょう」というようなコメントは作文の上達には役立たない。

 また「その時、どう思ったのですか」というようなコメントに対しては、「作文を書くねらいは、伝える力をつけさせることで、子供を文学的にすることではないのだ」と言う。文学的な文章が得意な子もいれば、論理的な文章が得意な子もいるのである。

 「比喩って楽しいです」「接続詞を教えよう」「感想文は書かせるな」「物語作りに挑戦」「長いものを書ききる」などは教室での作文指導のヒントになる。(常諾真教)