想像をふくらませて書こう
岡 嶋 大 輔

 3年生の教室。朝の読書の時間や、週1時間の読書や読み聞かせの時間でたくさんの本に触れてきた子どもたち。読書が好きで、読んでいる本にあこがれを持ち、自分なりに想像したことを書いてみたいという思いを持っている。そのような思いを生かし「朝、起きると、わたしは○○になっていました。」というように書き出しを固定した短い物語を書く等、少しずつ書く活動も取り入れてきた。

 さらに、本単元を通して「書き出し」「困ったできごと」「切り抜け方」「終わり」という物語の一つの流れを知り、一つひとつの場面でどのようなことを想像すればいいのかが分かるようにして作家気分で書いていく学習を仕組んだ。友達と想像したことを交流して多様な話の内容があることを感じたり、自分なりに想像を膨らませたことが表れるようにと考えて物語を書いたりすることを大切にしながら学習を進めた。

 まずは、「書き出し」「困ったできごと」「切り抜け方」「終わり」という流れに沿って教師が作った物語を例として示した。
「そういえば桃太郎の話も、鬼が出てきて困ったけれど、犬と猿とキジが出てきて戦って切り抜けたね。」
等と、他の物語にも照らしながら考える姿もたくさん見られた。

 次に、「物語の舞台」には、どんなものがあるかを出し合った。「未来都市」「恐竜の世界」「海」「○○島」「ジャングル」「雲の上」「○○星」「宇宙」「魔法使いの国」「動物の国」「天国」「昔の日本の村」「お城」「体の中」等々、たくさん出てきた。
「それだったら、こんなお話が考えられる。」
というように、「物語の舞台」を出し合うだけで、目を輝かせて想像を膨らませていった。

 そして、出てきた「物語の舞台」の中から一つ、「雲の上」を例に取り出し、「なぜそこにいるのか」を考え合った。教師は、出てきたものを類型化していった。
 『○○をしていて気がついたら』 例「夜に本を読んでいて気がついたら…」
 『○○にまきこまれてしまって』 例「たつまきにまきこまれてしまって…」
 『○○を使って』 例「とくいの魔法を使って…」
 『○○に○○してもらって』 例「くじらぐもに乗せてもらって…」
 『○○するために』 例「さいごの宝さがしをするために…」 
等々である。さらに想像が具体化され、書きたいことが膨らんでいる様子であった。 (次号に続く)
(滋賀大学教育学部附属小)