「おもしろい」を考える 「サラダでげんき」(東書1年)
吉 永 幸 司

1.「おもしろい」いろいろ
 1年生の子どもが「おもしろい」という時の幅はひろい。
 挿絵を見て、りっちゃんや登場する動物の表情を「おもしろい」という子がいる。絵の力である。粗筋に心を寄せる子がいる。予想を超えた展開に心が動くからである。また、主人公に心を寄せているからでもある。
 すらすら読める、考えたことが発表できるということで興味を示す子がいる。学習活動への興味である。劇や紙芝居などの活動で興味を持たせる事もできる。

2.「おもしろい」を探す
 教材を読む。「おもしろい」が見つかる。
(1) 「おかあさんが びょうきなので いいことを してあげたい」と思う主人公について考える。
「いいこと」が面白い。肩をたたく、なぞなぞごっこ、くすぐる…・誰でも考えそうな事を並べるがどうも満足しない。よく考えるとお母さんより自分が楽しいことのようにも思える。だから「もっともっといいこと」になる。
 病気と元気を対比し「サラダ」を思いつく。「あっ、そうだわ」と「いっしょうけんめい」と繋ぐと生きた言葉になる。

(2) 最初は「きゅうり」「キャベツ」と日常的な野菜から。そこへ、ねこが入ってくる。次に犬がくる。
 「のらねこ」「となりの犬」の設定と「のっそり入ってくる」「とびこんでくる」の設定が面白い。りっちゃんのお母さんとの距離まで見えるのは読み過ぎだろうか。
 すずめとありという対比もお話の世界を広げる。

(3) サラダに何を入れるかということを考えて読むのも面白い。
 「さらだにかつおぶしを入れるといいですよ。すぐにげんきになりますよ。木のぼりだってじょうずになりますよ。ねこみたいに」をもとに会話文に注目をする。ねことかつおぶし、犬にハム、すずめにとうもろこし、ありにおさとうと分かりやすい。同じように木登り、歌を歌うと元気な時の様子は、りっちゃんのお母さんが元気な時と対比して考えることができる。お話には書いていないが、やさしいお母さん像を想像することができる。

(4) 「ハムを入れました」「とうもろこしを入れました」と続く。しかし、象の登場で「まぜました」という結びができる。最初の「できあがった」の不完全さを象が補う。「たちまち げんきに なりました」の文からりっちゃんや登場人物の様子を思い浮かべる事ができる。「想像するおもしろさ」を表す言葉が生まれる。
(京都女子大学)