題名から始める本選び
岡 嶋 大 輔

 本を読むことが大好きな3年生。しかし、読書の様子を見ていると、それぞれが読んでいる本は偏りがちである。好きなシリーズがあり、それをどんどん読んでいくことも大事であるが、また違った本の探し方も知って読書の輪を広げてほしいと考えた。
 本の題名、書き出し、さし絵、あとがき等々から本探しができるが、本学習では「本の題名」にスポットを当てて本探しをするように取り組んだ。

 はじめに、「今までに読んだことのない本をえらぼう」「題名だけを見て本をえらぼう」というルールのもとで、図書室に行って「おもしろい題名の本」を1冊選ぶようにした。あるシリーズの本がどこかと探すのではなく、いろいろな本棚に行き、じっくり題名だけを見て想像しながら本を選ぶという経験が意外に少なかったようで、
「こんな本があったのだな。」
「この本の題名、○○だって。」
という声も聞こえてきた。

 そのようにしてクラスみんなが選んだ本の題名を一覧にして配布した。
「『ききいっぱつ』って、何が起こるのかな。」
「えっ、○○ってどういう意味なの。」
等、何となく想像はできるけど本当はどんな話なのか気になる題名の本、ぱっと見ただけではどんな話か分からないような題名の本等々について話は盛り上がった。

 それらの中で「読んでみたくなったおもしろい題名の本」を投票し、ベスト5を発表した。それらの1つひとつを発表しながら、どんな話だと思うか、想像したことをみんなで出し合うようにした。いろいろと出し合う内に、実際の話はどうなのかとどの子も気になる様子だったが、後はその本を読んでのお楽しみということで終わりにした。

 題名を見て本を選ぶということをしてみて、思ったことや考えたこと、分かったことを聞いた。
「1つの題名なのに、人によって考えることがちがっておもしろかった。」
「読んでみたいなと思って気になった題名がたくさんあった。」
「題名だけでも本がえらべることが分かった。」
等が出てきた。

 数日後、図書室に行き、再び題名だけを見て本を選ぶようにした。そのときのある子の感想。
「意外とおもしろい本がたくさんあるのだと思いました。」
 今までだと手に取らないような本を手に取るきっかけができ、少しずつ読書の輪を広げられたらと思う。
(滋賀大学教育学部附属小)