本棚  親と教師にとって、すごく大切なこと
ロン・クラーク著 松本剛史訳 BK1
草思社 2005.3 1400円
親と教師にとって、すごく大切なこと

 教師にとって必要な資質は何かと問われたとき、何と答えるだろう? 著者は「子どもを導く大人に必要な資質」として、「熱意 冒険 創意 反省 バランス 思いやり 自信 ユーモア 常識 感謝 回復力」の11を挙げる。

 「熱意」が第一というのは誰も納得できるだろう。では「冒険」はどうだろう? 「毎日毎日、ただ教室に座って、退屈しながら時計を見ているだけの生徒があまりにも多い。…子どもたちにとっての冒険をつくりだすことで、彼らに多くのことを教えられるだけでなく、自信をつけさせ、信頼をはぐくみ、さらによい生徒になるよう励ますことができる。」

 「感謝」の項。「わたしたち教師がみずから感謝の気持ちを示し、生徒たちにも人に感謝することの大切さを理解させるのは重要なことだ。けれどもさらに大事なことがある。わたしたち教師は、生徒たちとともに学習するというチャンスを与えられていることに大きな感謝の念を抱くべきだろう。」

 それぞれの項目について、自身の経験から失敗談や成功例が語られている。著者が32歳と知って驚く。さすがに全米最優秀教師賞受賞者だと納得させられる。『子どものためのルールブック』もおすすめである。(常諾真教)