本棚  12歳から学ぶ滋賀県の歴史
滋賀県中学校教育研究会社会科部会 編 BK1
サンライズ出版 2005.3 980円
12歳から学ぶ滋賀県の歴史

 書名や編者名から、中学校の社会科で使用する副読本か参考書のように思われてしまうが、決してそれだけを目指した本ではない。滋賀県の歴史や地理に少しでも関心があれば、休日に出かけるときの格好のガイドブックにもなる。「読者の皆さんへ」にも述べられているように、「今度転入してきた校区にはどのような歴史があるのだろうか。有名な名所や旧跡にはどのようなものがあるのだろうか」と興味を持つ人にも役立つ。
 写真・図表・イラストなどが多く、1つのトピックが1ページにまとめられていて、たいへん読みやすい。

 例えば、湖東三山へ紅葉を見に行くなら『百済の寺院を模した百済寺の創建』が、大津祭りには『幕府直轄地・大津百町の繁栄』が参考になる。
 「近江商人」については『八幡商人』『高島商人』『日野商人』『五個荘商人』それぞれの特長を知ることができる。近世に活躍した小堀遠州・中江藤樹・雨森芳洲・北村季吟などの業績、近代の『堀井新治郎親子と謄写版』『山岡孫吉とヤンマーディーゼル』などのページもある。
 また、『オコナイ』『朝鮮人街道』などの読み物、『ヴォーリズ建築』『祭礼』などのギャラリーもある。ぜひ一家に一冊を。(常諾真教)