い っ ぱ い 書 く
北 島 雅 晴

 「先生、いつから勉強を始めるの」
 1年生を担任すると、よく聞かれる子どもの言葉である。学習の準備、あいさつ、手洗いの仕方といった学校生活に必要な事柄は、子どもは、学習とは感じていない。
 それならば、子どもの期待に応えて、早く学習を始めるのがよいと考えた。入学2日目から、ひらがなの学習を始めた。

「し」の学習
 T 「し」のつく言葉を言いましょう。 
 C 「しんごう」です。
 T 信号って何色があるか知っているね。
 C 赤と青と黄色。
 T 黄色は?
 C 真ん中。
 C 「しりとり」です。
 T ちょっとやってみようか。しりとりー。
 C りんご
 C ごりら
 C 「しいたけ」です。
 T しいたけってどんな料理に使うのかな。
 C 茶碗蒸し。
 C 八宝菜にも入れる。しいたけ大好き。
というように、できるだけ子どもたちの生活と関わらせて、言葉を広げるようにする。

 その後、ノートに「し」の文字を練習する。はじめのうちは、学習した文字だけを書くが、慣れてきたら、言葉を書いたり、絵をかいたりする。話をするだけでなく、どんどんとノートに書くことを大切にする。
「今日は、○という字を習ったと、うちへ帰ってからうれしそうに話をしてくれます。」
といった保護者からの連絡帳も届く。

 2週間たった頃には、絵日記を始めた。学校やうちで楽しかったこと等を題材にして絵をかく。その絵をもとに、先生と話をする。子どもが話したことを先生が書き取る。この一連の流れの学習を3回ほど続けた。
 すると、自分で書けるという子どもが出てくる。絵をかくところまでは同じだが、自分で文章を書く場合と先生に話をする場合と、二種類の用紙を用意して、子どもに選ばせた。
 ◇「象」の用紙  自分で書く象(ぞう)
 ◇「花」の用紙  先生と花(はな・話)そう

 これらの学習はすべて、1冊の国語のノートに書かせるようにしている。6月初旬には、1冊目のノートを使い切る予定である。いっぱい書いていっぱい学習した結果として、使い終わったノートを増やしていきたい。
(草津市立志津小)