気に入った読み方をみつける「ふきのとう」
吉 永 幸 司

1.意味を考える
 「ふきのとう」が雪をどけようと踏ん張っている。雪も水になりたいけど竹やぶがお日様をさえぎっている。「ごめんね」「すまない」が響き合う場面を指導した。

 「竹やぶのかげになって、お日さまがあたらない。」
 とざんねんそうです。
 「すまない」
 と、竹やぶが言いました。
   (光村二年上)

 これだけの文なのに「ざんねんそう」「お日さまがあたらない」「言いました」と指導をしたい言葉がある。
 音読が得意な子ども達だったので「言いました」に視点をおいた。
 「すまない」はどのように読めばいいのかということを話題にした。音読では「すまない」という語のイメージを声に出しているだけだったので、前後の場面の意味から考えさせた。

2.修飾語を考える
 場面の様子をイメージするといっても、それほど話し合いが盛り上がらない。それはすでに自分なりに納得していることを説明するのが面倒だからである。
 そこで、この場面を音読させた。
 「言いました」の前に「大きい声で」等の修飾語をつける学習である。友達の読み方を聞いていないとできない学習なので集中する。
 例に「大きい声で」を出したのでしばらくは「小さい声で」「ゆっくりと」という読み方についての語が黒板に並んだ。そのうち「すまなそうに」「こころから反省するように」「気持ちをこめて」「ざんねんそうに」などの言葉が増えた。
 話し合いができれば、修飾語をつけた理由を確かめればよかったが、色々な読みをあらわした語をノートに写させた。

3.気に入った読み方に印をつける
 ノートが黒板の通りに写せているかどうかを確認した後、自分の読みたい方法で一番ぴったりした読み方に○をつけさせた。
 「こころからすまなさそうに」と「小さい声で」の二つに○をした子もいた。「気持ちをこめて」に自信を持って○をした子もいた。自分の読みたいものが見つかったのだろうと思う。

4.言葉に関心を持たせる
 授業の後半は「ざんねんそう」と「ざんねん」の違いを考えさせた。  「日が当たる」は「ボールが当たるとは違う」という違いをもとに説明が続いた。丁度、窓際に日が差し込んでいたのでその様子を見ながら「日が当たる」を共有することができた。
(京都女子大学)