「学び合い」の視点を持つ学習づくり
岡 嶋 大 輔

 3年生の教室。友達と感想や考えを交流し、学び合いながら物語文を読む姿勢を育てたいと、次のような読みの授業を展開した。
 教材文は、「きつつきの商売」(光村3年下)。まずは、すらすら読めるようにと、授業や家庭学習で繰り返し音読するようにした。また、分からない語句等を挙げ、みんなで考え、分かるようにした。
 そうして本文を読み、感想を簡単に書いた。ここでいう感想には制限はなく、自由に書くようにした。感想を書くヒントとしては「心に残ったところ」「どういうことかなと思ったところ」「気づいたこと」「友達の考えを聞いてみたいこと」「好きなところ」「なるほどなと思ったこと」等とたくさん挙げた。

「きつつきは、野うさぎには百リルのお金をもらったのに、どうして野ねずみはただにしたのだろう。」
「どうして、きつつきは『おとや』の店を開こうと思ったのかな。」


 次の時間に、その感想を一覧で印刷したものを配布し、それを読んでの感想を簡単に出し合った。そして、もう一度本文を読みながら感想を書いた。ポイントとしては「もう一度本文を読んでの感想」「友達の感想を聞いたり読んだりしての感想」のどちらを中心に書いてもよいことを告げた。
 この二度目の感想を書くところから、興味深い子どもの感想や考えが出てくる。「学び合い」の視点を持った感想や考えが出てくるからである。

「きつつきが『今日だけただです。』と言っていたのは、できるかどうか分からなかったからで、新メニューだからだと思います。」
「自分は、音を出すのがうまいから『おとや』を開けばみんな楽しんでくれると思って開いたのだと思います。」


 家庭学習で音読を繰り返していきながら、授業では、三度ほどそのような感想や考えを交流する時間を持ち、その後に「学んだこと」を振り返る時間を持った。その中で教師が「学び合い」の視点を整理していった。
 友達の考えと「同じ」なのか「似ている」のか「違う」のか考える。友達の疑問に「答えよう」と考える。友達の考えに「なるほど」と共感して新たな「気づき」を生み出す。または、「付け加え」てよりよい考えを作る。友達の考えにつなげてさらに「疑問」を持つ。
 授業の展開はシンプルであったが、「学び合い」の姿勢が育つ第一歩が踏み出せたと思っている。
(滋賀大学教育学部附属小)