▼授業に「ゆとり」が必要だと思うようになった。その気持ちを強くしてくれたのは、「かさこじぞう」を学ぶ2年生の子どもとそれを指導された若い先生だった。

▼授業は、じいさまが吹雪の野原で地蔵様の雪を手で払う場面であった。雪の寒さに凍えるような場面の様子をイメージしながら、雪を掻き落とす様子を動作で表すという方向に広がっていった。多くの子が指先を広げ手で払うような仕草をした。ところが数人の子が指先を曲げ、爪で引っ掻くような格好で雪を落とす動作を演じた。先生は早速、その違いを取り出して、どうしてこうなったのか考えさせられた。

▼教師の意図が理解できないのであろう。話題は指を曲げるかまっすぐにするかに集中した。相手を説得するために、「お風呂で頭を洗うときは指をまっすぐにする」という発言がきっかけになって、急に話し合いが盛り上がった。ただ話題はシャンプーする時の指であった。その後、どうなるのかなと思っていたところ頃合いを見計らって、「今、勉強をしているのは、雪野原のじいさまと地蔵様ですよ」と言われると「あ、そうだ」と納得をした様子で動作化の意味を確認する子どもたちだった。

▼その後、授業の盛り上がりが弾みをつけてか、文章の意味を丁寧に読むことの大事さの指導がしっかりと理解できたようにみえた。(吉永幸司)