本棚  トイレをきれいにすると学校が変わる
里内 勝 著 BK1
学事出版 2004.10. 1800円
トイレをきれいにすると学校が変わる

 著者は栗東市教育長。荒れていた中学校のトイレをホテル並みに改修することによって学校が正常化したというのは伝説的な話となっている。
 しかし、トイレをきれいにすれば学校が変わるというものではない。計画段階から生徒を参画させ、デザインなどの決定を生徒に任せたというプロセスが重要である。そのことによって、生徒の自主性が顕在化し、自分たちが大人から信用された事実が意識改革を起こしたのである。
 トイレが生徒の誇りとなることによって、トイレだけでなく学校全体を熱心に掃除するようになり「学校を大切にする心」が育ってきた。まさに「心の教育」である。

 本書の後半は、学校マネジメントシステムについて述べられている。教師の資質向上に力を入れても学校がよくならないのは、「教師個人の資質だけではもうどうにもならないことを示唆している。資質の向上した教師が学校においてどのように動くのかという視点が必要だ。それぞれの教職員の活動が目標に向かって進行するための仕組みに着目すべきなのだ。」それがのマネジメントシステムである。
 トイレの改修には金がかかるが、こちらは金をかけずに学校を変えられる方法である。(常諾真教)