「出会い・ふれあい・心の輪」 出発は国語、終点は国語力
中 嶋 芳 弘

 「10才を祝おう」をほぼ全員が10才になる3学期に回して、「伝えよう、私たちの心」の学習に入った。総合的な学習の時間「出会い・ふれあい・心の輪」をテーマに福祉に関わる学習に向かっていくためである。

 「伝えよう、私たちの心『手と心で読む』『手話との出会い』」を読み、大きなまとまりごとの内容を読み取ったり、感想を交流したりする。これは、国語の学習である。ここでは、次の点を特に大切にした。『手と心で読む』では「点字を覚える気になれなかった。心のふるさとを失う。自由に使える文字を持つ」等のキーワードを押さえて要約文を書くこと。『手話との出会い』では「手話は日本語とは別の言語。手話を通して、たがいに理解し合うことができました」という部分に注目してまとめたり感想を述べたりすること。

 そして、この学習と並行して、彦根点字グループの皆さんから点字を教えていただく機会やアイマスク体験、音声を使わないコミュニケーション体験をする時間を持った。次は、その感想から。


○目かくしをすると、いつも平気なところも、とってもこわかった。ガイドの人が何回も「何もないからだいじょうぶ」と言ってくれたけど、なかなか足が動きませんでした。歩くペースがおそくなったのもそのせいだと思いました。目の不自由な人はとってもつらいだろうなと思いました。今度、目の不自由な人に出会ったら、親切に助けたいです。

○先週、点字の先生に教えてもらった。だから、今日は二回目。でも、あまり字がわからなかった。目の不自由な人は、一字一字点字を覚えて、毎日、読まなくちゃいけないから大変だな。今日は、少しだけ、目の不自由な人の気持ちが、とっても少しだけ、わかった気がした。

○耳の不自由な人は、一字覚えるのも大変なのに、いっぱい覚えないといけません。それに、指文字はひとつひとつていねいにしないといけないことが分かりました。


 この思いを出発点にして「目の不自由な人のこと」「耳の不自由な人のこと」「手足の不自由な人のこと」と3コースに別れ、さらに小さな課題グループを作って調べたり、体験を深めたりした。今、子どもたちは「河瀬祭り」で全校の仲間に自分たちの調べたことや思いを伝えようとまとめを進め、伝え方を相談しているところである。「点字絵本を作って見せよう。それから、点字教室を開こう」「手話についての新聞をまとめ、そこからクイズを出そうか」等と。国語力がついていないとまとめることも伝えることもできない。
(彦根市立河瀬小)