本棚  いい学校の選び方 子どものニーズにどう応えるか
吉田新一郎 著 BK1
中公新書 2004.8 760円
いい学校の選び方

 学校選択制を取り入れる自治体が増え、親が公立校を選べるようになってきた。「特色ある学校づくり」が行われつつあるものの、まだまだ公立校は私立校ほど際だった特色のないところが多い。そんな中で、何を規準にして選べばよいのかを本書は丁寧に示している。

 だれにとっても「いい学校」というのはない。自分の子どものニーズにあった学校を選ぶことが大切であるという。
 そのためには、まず子どものニーズを明らかにする。そして情報収集をし、見学をする。しかし施設を見ただけで決めてはいけない。学校の教育方針を聞き、教室や授業の様子を見、さらに校長、教員、子ども、その学校の保護者などから話を聞く。そのためのチェックリストやインタビュー時の質問項目なども記載されている。

 後半は、「いい学校のつくり方」について述べられている。学校を選んだら終わりなのではなく、子どもがよりよく学べるためには親が関わり続けることが大切であるとして、その方法が示されている。しかし、当然ながら「いい学校」をつくるためには教員の果たす役割が大きい。教員の立場から読んでも、得るものはたいへん大きい。(常諾真教)