物語文の良さを見つけて「ごんぎつね」
蜂 屋 正 雄

 今回の学習では「場面と場面の関係に注意して、人物の気持ちの変化を想像しながら読む」という単元目標にそって、
(1) 本文から自分自身が分かったことをどんどん書き留めていくことで、自分で学習する力をつけること。
(2) その上で友だちの発見と自分のものを比べながら聞くこと。
この2つを大きな柱として学習展開を考えた。

 本文から発見したことを書き留めていきやすいようにと、教科書をB4版に拡大コピーした「別冊」を子どもに配った。また、学習時にはみんなで見合えるように、プロジェクターと実物投影機を用意した。

 子どもたちには文章を読んで分かったことがあれば、どんなことでもよいので、その部分に線を引き、分かったことを書くように指示した。

 はじめはやり方が分からなかった子どもたちに、「時間について分かるところはどこかな」「距離について分かるところはどこかな」と聞いて、「そのことから分かることはないかな」と問いかけた。子どもたちは、教科書の「時間の経過」や「距離」について書かれている、「二、三日」「しばらくすると」「それから」「兵十がいなくなると」などに線を引き、「ごんはずーっと見ていたのだ」「三日もじっとしていたからすごくいたずらがしたかったんだろう」といったことを発表した。距離に注目した子は、はじめは「人が何かをしている」のを見たごんが「歩きよって」「兵十だ」と分かって「顔に葉が付いている」のが分かったのだからだんだん近づいてきていることが分かると発表した。

 なれてくるうちにたくさんの意見で、「別冊」は線だらけになっていった。また、葉っぱが付いているのに気が付かないくらい一生懸命な兵十の様子や、ぼろぼろの着物を着ている貧しい様子、いつものようにいたずらをするごんとそのかしこさなどに線を引き、交流し合うと、次々と線を引けるようになっていった。

 そうした活動をするうちに「先生、なんかめちゃめちゃ勉強できた気がする」「先生、国語で発表できたわ」「面白い」といった声を聞くことができた。子どもたちそれぞれの力や関心に応じて、物語文を読み進めていけた結果だと思う。

 また、物語の主題に迫る発表が出た時に、教師の適切な発問を入れることで、「兵十とごんの心のすれ違い」や「物語文の表現の巧みさ」といったことも読みとっていけたのではないかと思う。
(草津市立笠縫東小)