書写の授業考 毛筆4年
中 嶋 芳 弘

 教師の多くが、小学校で学んだ書写の授業か、昔習っていた塾の教え方を思い出して授業をしている現状がある。そこで、一考。

 まず、授業を前に
○手本の準備(「基準」という語を使いたいが、わかりにくいため「手本」とした)なるべく実物大に。小さい手本を見て書くと萎縮してしまうので、教科書の手本を拡大印刷。にじみやかすれを取り去った教科書の文字は不自然。印刷機もよくなったので、手書きして印刷する方がさらによい。
○目標を念頭に置く。書写の授業の目的は、文字を整えて書くための方法を計画的に理解・定着させること。教科書の「単元」に書いてあることが授業の「目標」になる。「折れも」「はらいも」と欲張らないこと。教えたいことを「単元の目標」を中心に、二つくらいにしぼっておく必要がある。

 滋賀は書写書道指導に熱心な研究が積み上げられている県である。子どもの書を見つめ、子どもらしい元気な字を認めるようにしている。文字の形については、その多くを硬筆で教え、線質への興味や書くことへの関心意欲を毛筆で引き出すという考え方で進められてきた。「文字を整えて書く方法」に関わる目標はしぼっておくことがより必要になる。

 次に、授業の「パターン」を
 ここでは「文字の中心・行の中心」を目標にした「火山」という題材を例として取り上げる。当然、文字の中心・行の中心を理解して文字を整えて書ければ授業の「目標」は達成したことになる。

@筆順や字形を確認する……筆書の前に、数人に板書させて筆順や字形についていっしょに考える。

A学習のねらいを決める……@で出たことと単元の目標を確認し、学習のねらいを決める。ここでは「中心をそろえる」を必ずいれる。ほかに「筆先に気をつけて払う」「元気よく紙いっぱいに」など。

Bねらいに照らして作品を見つめる……1枚書いたあと「二つの字の中心がそろえて書けている人は手を挙げよう」などと働きかける。(手を挙げさせないで得点として覚えさせる場合もある) *ここで、子どもの作品のよいところを認めながら範書して回ったり、手本を渡したりする。

C手本を見て2枚目を書く……ねらいを意識して書けたところをおおいにほめる。(うまく書ける子が増える)

Dまとめ書きをする……もう一度ねらいを確認して、自己評価しながらまとめ書きをする。「うまく書けるようになったぞ。どこまでうまくなるか楽しみだ」(はじめに2〜3枚配っておき、ここで、ほめながら追加するのもよい)

E 後片づけをする……(残った墨の処理)給食の缶詰の空き缶をもらい、内側にビニル袋(スーパーの買い物袋など)を三重くらいに敷く。更紙・新聞紙などを缶の長さの筒にして缶いっぱいに立ててておく。そこに墨を捨てていくと、1週間程度で乾く。学期の終わりごとくらいに消却ゴミとして出して、新しいものにかえるようにする。
(彦根市立河瀬小)