実 物 を も と に 話 す
北 島 雅 晴

 1学期から毎日、スピーチを続けているので、2学期始めもスピーチをすることにした。夏休み明けだから、話題は夏休みのことが自然だろう、と単純に考えた。何か、実物を提示して話をするとおもしろいのではないかと直感的に考えた。
 子どもたちに、3つのものを提示した。オリンピックに関する写真、『さだ子と千羽づる』という絵本、そして私の5年生の時の通信簿である。

T この3つは、どれも先生の夏休みに関係あるものです。このうち、1つだけ先生がスピーチをするなら、どのことでしてほしいですか。

 圧倒的に、通信簿を選んだ子が多かったが、選んだわけ、選ばなかったわけを尋ねてみた。

C 先生が5年生の頃、どんな成績だったかを見てみたい。
C 先生は、4年生の時、国語を教えてくれたけど、国語が得意だったかどうか知りたい。
C 新聞の写真は、オリンピックのことで、みんなが知っているからおもしろくない。
C 絵本を選んだのは、この絵本と先生がどんな関係なのか知りたいから。
C 通信簿がなぜ夏休みと関係あるかが知りたい。

 この中で、一番人気の高かった通信簿のことについて1分間スピーチをした。(内容は、夏休みに大 掃除をしていて、たまたま子どもの頃の通信簿が出てきて、5年生のことを思い出していたというものである。)

 実物をもってきてスピーチをするということが分かったので、どんな実物を持ってきて話をするかを考えた。そして、2学期3日目から1日6名ずつスピーチを始めた。

C ぼくは、夏休みに妹とよくけんかをしました。けんかになると妹は、よくものを投げてきます。これが、妹の投げたからしの入れ物です。けんかになるのは、ゲームをしている時が多いです。(この後は、けんかの様子、特にものを投げることについて話が続く。)

 ポケットからからしのチューブを出した時は、みんなが大笑いした。こんな実物の出し方もあるのだと感心した。

 実物をもとに話をすると、みんなを話に引き込む効果がある。実物に関係することにしぼって話ができる。スピーチが終わっても、実物のことで話が広がる。思いつきで始めたスピーチだが、いろいろな実物のよさが生まれた。
(草津市立草津第二小)